悔いのない馬券を

競馬予想の思考過程の備忘録として

馬を選ぶ

この記事のタイトルは、チャールズ・ブコウスキーの短編エッセイの題名。先日刊行された『ワインの染みがついたノートからの断片』(中川五郎訳;青土社)に収録されているもの。この本は「未収録+未公開作品集」とされていて、2008年にシティ・ライツ・ブックスから出版された Portions From A Wine-Stained Notebook を日本語に訳したもののようだが、内容はどこかで読んだ記憶があるので、このエッセイ自体は初めて公開されたものではないと思う。

副題を「競馬場で勝つ方法、もしくは少なくとも損をしない方法」といい、原題は Picking The Horses How To Win At The Track, Or At Least Break Even となっている。

具体的に書かれている内容を僕の言葉で適当にまとめると、冷静な判断ができる精神状態を保つこと、単勝だけを買うこと、人気と実力のバランスを見極めるのが大切だということ(特に近走で惜敗した追い込み馬は人気になり過ぎる傾向がある)、といった感じ。タイトルを裏切らない、けっこう実際的な初心者へのアドバイスになっている。まったくの初心者というより、ビギナーズラック期を抜けてスランプに入っていろいろ迷いが生じてきた人に対して非常に有効なんじゃないだろうか。

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ブコウスキーを初めて知ったのは1994年のことで、新潮社から出た短編集『町でいちばんの美女』のカバー写真(藤原新也によるもの)に引きつけられて買った。今思えばナリタブライアン三冠馬になった年だが、その本を買ったのがいつだったかは記憶にない。まだ20代だった。ああいう無頼な生き方に憧れるのも若気の至りと思えるが、そこから抜け出るのも自分には難しいことだった。